魔界(アル=アラート)


創生の竜、竜王の創った原初の世界。進化を厭い、変化を恐れる永劫不変の大地。

 

言い伝えによれば、孤独であった竜王は、世界を守るために自身の姿を真似て9人の配下を作った。

彼らは動物と交わることで各々の種族を築き、人として増え、やがて世界には数多の国が出来た。しかし彼らは争いを始める。

土地、食料、それぞれの種族の威信をかけて。世界を守るために授かったはずの魔法の力は争いを激化させ、瞬く間に世界は荒れ果てた。

それを嘆いた竜王は、人々から魔法の力を取り上げて世界中にばら撒いてしまったという。

以来、世界は一つの国に、人々は各々の領域を守る盾として竜王一人に仕えることとなる。

「魔界」という呼び名の由来は、世界中に漂う魔力に起因するのだと言う。

 

◆ Radiant ラジエント

特別自由自治区ラジエント。魔界大陸の西端に位置する。約300年前に設立された、魔界外の人種の為の居留地。かつては南方のアメンティ二スタが主都だったが、軍の配備に際し主都を北のセゼンリースに移した。住民の多くが土地を追われた地上人や一部の天界人だが、魔界内で人権の認められない混血魔界人たちの安住の地でもある。一方で、セゼンリースの城壁以北の郊外は魔物の跋扈する危険地帯で、魔界本土を護る砦としての意味合いも強い。

 

◆ Hyostia ハイオスティア

竜都ハイオスティア、または単に竜都とも。竜王の住まう土地、魔界の中心地として栄える首都。公的機関である竜宮や竜官学校、軍学校、古書館などがある。他の地域と異なり、あらゆる種族の主要な一族が暮らしていることもあって街中は昼夜問わず騒々しく、物や人で溢れかえっている。

 

◇ Lonstanz ロンスタンツ

ロンスタンツ地方。竜都の北西に位置する。土地の大部分が起伏の少ない平野で、農業や酪農が非常に盛ん。年間を通して温帯、人々の性格も温厚である。牛、馬などを祖に持つ蹄のある先住種族の他、ラジエントのあった土地に住んでいた種族が移住した経緯から種族ごとの町が多くある。

 

◇ Warbeig ワーベイグ

ワーベイグ地方。竜都の東に位置する平野と険しい山岳を抱く土地。四つの地方の中では最大面積を誇るが、年間を通して気温が低く厳しい環境から居住地は少ない。主に北側に狗族系と山羊族系、南側に鼠族系の種族が住む。主都コンツォルトには狗族の創立した医術院、ビスクには鉱山が多くある。

 

◇ Sinzai シンザイ

シンザイ地方。竜都の南に位置する小大陸。死火山である月虹山を中心に南側は大森林、東側は湿地帯、北側は荒野と変化に富む地形は四地方の中でも絶景と名高い。鳥、熊、犀を祖に持つ種族がそれぞれに町を作って暮らしている。林業、工業が盛ん。

 

◇ Fitzia フィッツィア

フィッツィア地方。竜都の南西に位置する。土地のほとんどが砂漠と荒野の乾燥地帯。猫、駱駝、象等の祖を持つ種族が暮らしている。主な産業は造船と漁業、希少な鉱物の産地でもある。マフィアなど犯罪組織の多さでも有名。

 

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◇ Willoradrau River ウィロラドラウ大河

魔界の大陸を南北に分かつ大河。河というにはあまりにも広く潮流も荒いため、渡航したければ専門家に任せるのが無難。魔界で水中に住む種族は、唯一白鯨族のみである。

 

◇ Fobidden Ground 空白地帯

読んで字のごとく空白地帯。魔物の発生以後、より安定した治安の維持のため人々が捨てた土地。竜都に流れる川の源泉であるカロル湖には竜王の末子であるクロ―セルが住み、守護している。

地上(オクロム)


地上の歴史の在り方は見る者の立場によって大きく変わるだろう。

精霊にとっては争いの末奪われゆく故郷、人間たちにとっては邪悪からの解放を待つ大地。

また、遥か昔のとある者にとってはたったひと時の安息の地であった。

いずれにしても、この世界は今まさに、変化の途上にある。

 

 

◆ Navigatolian ナヴィガトリア帝国

影の精霊による国家。南北大陸を分かつ大峡谷アルハイアに築かれた魔導科学都市。精霊王議会による幽閉以前から、代々影の精霊王の血族となる王家が国を治めているが、国民の大半は影の精霊と地の精霊の混血である。かつては王国であったものが、セペテルやダックパントなどの近隣の複数都市を吸収し帝国となった。一日の大半日が差さない市街には常にホシユリ灯の青い光が煌々と輝いている。

 

◆ Erdebel エルデベル

聖都エルデベル。天界エディラが創造された折、地盤が抉れてできたエルデベル湖の湖岸に広がる天界傘下の宗教国家。人間に天界の教えを説き、技術や知識などを与え導く。光使の軍隊を編成して魔物から人間達を守護しているが、精霊種族や混血の者は悪の化身として徹底的に排斥する。天界と地上を繋ぐ唯一のエレベーターがある。

 

◆ Maurabt マウラプト

海洋国家マウラプト。地上最古の国家であると言われ、その建国には異界の竜が携わったという。永世中立国を掲げ、どの国・団体とも協定、宣戦布告を交わさず種族、立場を問わずあらゆる異端者を受け入れる。砂漠がちで資源に乏しいが海洋の美しさは地上一、漁業なども盛んで街は活気にあふれている。南北大陸を繋ぐ唯一の陸路があり、南北交易が盛んな商業国家でもある。

 

◆Hermagnon ヘルマニヨン

ヘルマニヨン公国。オリュミア山脈の北東に位置する国家。かつてはダックパント周辺まで及ぶ広大な土地を誇った大国であったが、帝国の侵攻を受けその大部分を失った。代々土地を治めるヘルマエル家が政治を担うが、実権は協定という形で帝国の派兵した軍部に帰属している。一部の地域は魔孔を誘因する特殊な土地柄から毎年行方不明者が後を絶たず、魔女の国とも呼ばれる。

 

◆ Vanachia ヴァナキア

地上北東端、入り江と断崖に囲まれた険しい岩山の半島。半島内には独自の生態系があり、あらゆる動物が強靭で獰猛。人もその例外ではなく、ヴァナクルと呼ばれる狩猟民族はその生態系の頂点に君臨している。

 

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◇ Mt.Trenta トレンタ山

地上最高峰の休火山。火の精霊の魂を祀った竜の言い伝えがある霊峰で、その麓には数多の国や町が栄えては滅びてきた歴史がある。

 

◇ Enro エンロー大森林

煙狼の森とも。果ての見えない鬱蒼とした樹海は人を惑わせ、いつしか異界へ誘うと噂されている。そうでなくとも霧に覆われた深い森は人々を寄せ付けない雰囲気に満ちている。

 

天界(エディラ)


神祖シャウラの掲げる理想は着実に現実となりつつある。

精霊王議会の幽閉から影の精霊、光の精霊を開放した彼は、今こうして、すべての精霊をその存在から解放しようとしている。

互いの違いに目が行くのなら、みな同じにしてしまえばいい。悲しみが生まれるのなら、感情をなくしてしまえ。

理想郷の住人として生まれ変わった人形たちは、今日も与えられた幸福の中に命を燃やしてゆく。